第5章 お嬢と智 *S.O
『お嬢!お嬢!』
辺りを見回しても、お嬢の姿は見えない。
すると。
くいっ、と着物を引っ張られる感覚に襲われた。
引っ張られた方を見やると、、
『お嬢!!』
「しっ、静かに。まだ私を攫った奴は近くにいるの」
あれ程心配していたのに、勇ましい態度なお嬢。
よく見ると、脚が震えていた。
『お嬢。意地張るのはよくねぇぞ』
そう言って、俺の腕の中にお嬢を閉じ込める。
お嬢は涙を流していた。
「さと、しっふ…ぅっ」
ぎゅっと俺の身体にしがみついて泣きじゃくる彼女はさっきまでとはまるで違っていた。
そんな彼女の顎をくいっと上げさせて、
口づけを。
「んっ……はぁっ…ぁ」
はじめは戸惑っていた様子のお嬢だったが、次第に俺の着物の襟をきゅっと握りしめ、その身を俺に任せてくる。
『お嬢、俺とあぶねぇことしねぇか?』
そう言って不敵に笑えば、
「な、に、言ってるのよ!」
と、真っ赤になってじたばたするお嬢。
『無事に助けたろ?』
そう言い残して、ひょいっとお嬢を抱き上げる。
その後、旦那様達には内緒で朝まで愛し合ったのはふたりの秘密。
↑いつか、続きを書くかも?