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『イケメン戦国』〜生きる〜

第4章 一歩前へ


なお目線

瞼に明るさを感じて、目を開けた。

「なお様!皆様!なお様が!」
秋野の声が聞こえる。

私はゆっくり声の聞こえた方へと頭を向ける。
そこには、目に涙をたくさんため、疲れた様子の秋野がいた。

「…どうしたの?」
身体を起こしながら問いかけると、秋野は私を抱きしめながら嗚咽を漏らし始めた。


しばらくすると、秋野は泣き止みそっと身体を離した。

「…良かった。」
そう呟くと、襖の方を振り返りいつもの様に
「大変失礼致しました。お入りください。」
と声をかける。

「気づいていたか?」
襖が開き秀吉さんと家康が入ってきた。

「…あの…私どうかしましたか?」
秋野や秀吉さん達の様子を不思議に思い問いかける。

「…とりあえず、身体を見せてくれる?熱とか心配だから…」
家康は近づくと手を額に当てようとする。
思わず、身体が後ずさる。

「…何もしないから…。」
ボソッと家康が呟く。

『診察だもんね…目を瞑ってれば大丈夫かな?』
私は一度ふっと息を吐くと、ぎゅっと目を閉じて身体を元に戻す。

暫くすると暖かい手が額に当たる。

「あったかい…」
そう呟くと、何だか空気が一瞬止まった気がした。
気になるけど、目を開けると怖いと思っていると、手はゆっくりと離れていった。

「なお様。目を開けても大丈夫ですよ。」
優しい秋野の声に目を開ける。

「私、どうかしたの?」
本当にいつ寝たかも覚えてない私は、秋野に問いかける。

「朝餉をお食べになって暫くして、倒れられたのですよ。少し無理をさせてしまったみたいで…申し訳ありません」
秋野は私に頭を下げた。

「秋野。やめて。朝餉に行けて皆んなにありがとうが言えて嬉しかったよ。ありがとう秋野。後、心配かけてごめんなさい」
私は秋野の身体を起こす様に肩に手をかけると、そう言った。

「なお様…こちらこそありがとうございます」
秋野は微笑んで言ってくれた。


「そういえばなお。腹は空かないか?」
秀吉さんが聞いてくれる。

その瞬間。
「キュルルルル」
と私のお腹が鳴る。
私は真っ赤になってお腹を押える。

「御膳をお持ち致しましょうね」
秋野が頭を撫でながらそう言ってくれたけど、顔を上げる事は出来なかった。








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