第29章 一緒に…
第三者目線
「やっぱり…一人で」
湯殿についても、着物を脱ごうとしないなお。
「駄目だ。何かあったらどうする」
信長はそう言うと、自ら裸となりなおの着物を脱がせていく。
「の、信長様…湯着を…」
そう言うなおの言葉を聞かないふりをして、信長はなおを抱え上げ湯へと向かう。
身体を隠す様に、信長にぴったりとくっつくなお。
「少し胸が大きくなったか」
くっついた事で肌がふれ合い、その変化に気づいた信長は揶揄う様に笑う。
「えっ…」
なおは恥ずかしさに身体を離そうとしたが、そうすれば見えてしまうことに気づき、信長の腕の中でわたわたとし始める。
「くくっ。なお落ちるぞ」
その様子が愛らしく、また揶揄ってくる信長を真っ赤にした顔で見上げる。
「そう、愛らしい顔をするな。我慢出来なくなるぞ」
信長は額に一つキスを落とすと、なおをそっと座らせた。
信長は自分で洗うと言って聞かないなおの頭に、バシャバシャとお湯をかけ頭だけ洗ってやると、隣で一緒に身体を洗う。
「入るぞ」
声を掛けなおを抱きかかえると、自分の足の間になおを後ろから抱きしめる様に湯船へとはいった。
「…あったかい」
表情は見えないものの、落ち着いた声色が聞こえ、信長は心の底から安堵する。
なおの肩にそっと頭を寄せ、腰に回していた手でお腹をそっと撫でる。
「ここに…のぞみがおるのだな」
そう呟くと
「はい。不思議ですね…」
なおはふわりと笑いながら、信長を見つめた。
「なお…貴様も子も何があっても守る。そう言って…一度は守れなかったが…もう二度と辛い目には合わせぬと誓う」
なおを横抱きにし、その身体をそっと抱きしめた。
「信長様…私、何があってももう平気です。
私に何があっても、信長様が一緒に居てくれると、分かったから…」
なおは、そう呟くと顔を上げそっとその唇にキスをした。
「そう愛らしいことをするな…」
そっと離れていく唇が離れがたく、信長はなおの頭を抱えると奪う様にキスをする。
「…ふっ、んっ…」
なおの口内に舌を差入れ、今迄の時間を埋めるように深くキスを交わす。