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『イケメン戦国』〜生きる〜

第1章  〜プロローグ〜


なお目線

母と別れた街〜京都〜。

未だにどこに消えたのか、わからない。
でも、逢いたくて。
あの日の、最期の旅行をなぞるように街を歩いている。

「居なくなる前の記憶は戻ってないんだけどね。」

独り言を呟く。

母が見つかっても、見つからなくても、もう家に戻る気はない。
もう、身体も心も限界。
こんな旅に出るきっかけを思い出し、自分で自分を抱きしめた。

「手紙も置いて来たし……。」

『探さないで』

と書いた手紙。

探さないで!と思う反面。
探して欲しい!と思う気持ちもある。

「甘えてる……よね。」






でも、もう、終わらせなきゃ。


………………………………………………

最後の観光場所に来た。

『本能寺跡』

「石碑しかないんだね。何だか淋しい。」

私には、記憶はない。
でも、私はここで見つかった。
母は見つからなかった。

ここで、何があったのか?
私は覚えていないけど、ここで母と別れたのだと思う。

「お母さん…。」

小さく呟くと、すーっと頬を涙が流れる。
母を思って泣いたのは、久しぶりだった。


私が泣き始めると同時に、雨が降り出す。
傘もない私は、石碑を見つめて濡れていた。
雨は酷くなり、さすがにその場を立ち去ろうとした時

ピカ!ドーーーーン!

大きな音がして、雷が直撃する。
逃げる間も無く、その光と音の中に吸い込まれていき、意識を失った。
遠くで

「なおーーーー!」

と呼ぶ声が聞こえた気がした。


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