第14章 荒木田さんと小説※裏注意
蒼生「どうだった?面白かっただろ?」
怜「へっ?!そ、そうですねぇ〜…」
蒼生さんがこれを読んで面白かったと思っていた事に対してものすごく複雑な気持ちになった。
怜(蒼生さんどうしてそんな目をキラキラさせて感想聞いてるの…?蒼生さんこの本の内容分かってて渡したんだよね??)
蒼生「…なんでそんなよく分かんない顔してんだ」
怜「え、いやぁ、そのぉ…」
蒼生「…もしかしてつまらなかったか?悪い…」
私が言いずらそうにしていると、蒼生さんがその本を取り上げた。私が取り返そうとする前にその本を蒼生さんがちらりと見ると、蒼生さんの目が見たこともないくらい見開かれた。
蒼生「……悪い、渡す本間違えた」
顔を逸らした蒼生さんの苦々しい声と、真っ赤の耳に、私は少し笑ってしまった。
怜「い、いえ!大丈夫ですよ!面白いかと言われたらアレですけど…まぁ、それなりに大人の作品だったなと思いました!」
蒼生「…っ」
蒼生さんはこの上ないくらい顔を真っ赤にし、頭を抱えていた。
怜(俺は何してんだ…って多分思ってるんだろうなぁ…相変わらず不器用なんだよな、蒼生さん)
怜「そんな気にしないでください、私だって子供じゃないですし、そんなやってしまったみたいな顔しなくても大丈夫ですから」
私は何とかフォローしようと思い、ヘラヘラと笑いながら蒼生さんに声をかけた。するとずっと黙っていた蒼生さんが口を開いた。
蒼生「もう…子供じゃないんだよな…」
怜「ん?何か言いました??」
あまりにも低い声で下を向いていたので聞こえず、少し顔を近づけた。すると蒼生さんが私の腕を優しく掴んだ。驚いて蒼生さんの顔を見ると、赤くなった頬と熱を帯びた瞳があった。
怜「そっ、せいさん」
突然のイケメンのどアップに慣れてる訳もなく、目のやり場に困り、狼狽えていた。
蒼生「この本を読んだってことは…内容も理解してるってこと…だよな?」
蒼生さんはそう静かに呟いた後、グイッと私の手首を引き寄せ、私を抱きしめるようにして優しくキスをした。