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マトリちゃんの恋愛事情*

第12章 スタマイ小話


怜「へぶしっ!」

服部「おやおや〜、マトリちゃんのくしゃみ面白いねぇ」

私がズズーと音をたてながら鼻をすする横で、クククと喉を鳴らして笑っているのは、捜査一課課長の服部さん。

1人でお昼を外で食べて、仕事場に戻ろうと店を出ると、何故か服部さんが待っていて、「じゃ、行こうか」となり、現在2人で街を歩いている。

怜「くしゃみなんて可愛くする余裕ないですよ」

服部「別にいいんじゃない?人間の節理だし」

どーでもいいように服部さんはくわぁとあくびをした。この人は1日に何回寝れば気が済むのだろうか。

服部「マトリちゃん達と同じでお月様出てる時にまともに寝てないからねぇ」

怜「そ、そうですよねぇ…」

まるで心を読まれたような服部さんの言葉に心臓がドキリと音を立てた。

そこから他愛もないような会話が多少ありながらも、私は鼻をすすったり、目を擦ったりで、ちゃんと話が入っていなかった。

服部「……」

ふと服部さんの視線を感じ、ちらりと横を見る。すると端正な顔立ちが目の前にあって、驚いて離れようとしても人混みで動けない。

怜「あ、あの…服部さん?」

何も言わずにただこちらを見るその目は、どこか真剣なように見えて、どこか優しく、または何も考えてないようにも見える。

恥ずかしさと花粉で自分の顔から色々な液体が出てきているのを感じた時、ふっと服部さんが笑って

服部「その赤くなった目…なかなかくるものがあるねぇ。マトリちゃんの間抜け顔もいいけど、泣き顔もいいもんだね」

服部さんはゆったりと自分の手を私の頭にぽんと乗せた。

怜「な、泣き顔って…これは花粉で…ハックション!!」

服部さんはまたクククと笑いながら歩き出した。

怜(ほんと…心臓に悪い…イケメンはすぐ人をからかう癖でもあるのかな)

私はまだ赤い目を擦りながら服部さんを追いかけた。

服部さんに本当の泣き顔や弱い所は見せたくないけど、もし見られたら、服部さんは慰めてくれるのだろうか…

なんてぼんやり考えながら、私はまた大きなクシャミをした。
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