第6章 今大路さんとぬいぐるみ※裏注意
峻さんと付き合い始めてそれなりに時間がたった頃。私は不機嫌そうな峻さんと偶然被った休日にゲームセンターに来ていた。
怜「そんなに嫌なら別に来なくても良かったんですよ?」
峻「るせー」
どうやらこのゲーセンの雰囲気が苦手なようだ。私はというと自分の目当ての商品があるUFOキャッチャーを探していた。
何故ゲーセンに行くことになったのかと言うと、私がどうしても欲しいぬいぐるみがあるからだ。私が愛して止まない2次元のキャラクターのデフォルメ化されたものが、数量限定でUFOキャッチャーで取れるのだ。
元々1人で行こうと思っていたのだが、夜ケータイを見ながらニヤけていた私を峻さんが見て、その中身を見られてしまった。隠していたオタクがバレて引かれるかもしれないと不安だったが、意外にも峻さんは他人の趣味なんか興味ねぇ、と呟くだけだった。
怜(あれは別に引いたわけじゃない…よね?今だって仏頂面でもついてきてくれた訳だし…)
ちらりとその横顔を盗み見ると、その視線に気づいたのか、いつもの営業スマイルをお見舞された。
峻「人混みなので、僕から離れないで下さいね」
更に強く握りしめてきた手を、私も勿論です、と手を握り返して答えた。
怜「あ!!ありました!あそこです!」
峻「あ、おい待て!」
愛しのキャラクターが無造作に置いてあるUFOキャッチャーが見えて、峻さんを引っ張りながらその台まで走っていった。