第5章 関さんと付箋
ある日のこと。私はオフィスでいつものように激務に追われていた。私だけではなく、関さんと夏目くん、珍しく孝太郎さんまでもが自分のパソコンと向き合い、カタカタと音を立てている。
無音の時間は続き、時々はぁ、と夏目くんのため息が聞こえる。
泉(多分今日定時で上がれないなー、のため息だろうな)
夏目くんの心境を勝手に想像しながら、私も少し休もうと腕を上にあげて軽くストレッチをした。
関「…皆、一旦休憩にするか」
関さんが私と夏目くんの様子を見て察してくれたのか、柔らかなトーンで話しかける。
夏目「やったー、怜ちゃん、俺珈琲で」
由井「俺も頼む」
泉「…分かりました」
当たり前のように私に飲み物を頼んでくる2人に内心ではイラッとしながらも、ついでに自分も飲もうと思っていたので席を立った。
泉「関さんも珈琲でいいですか?」
関「ああ、悪いね。頼むよ」
関さんは自分で休憩と言ったくせにまだ資料に目を通していた。
泉(ほんと、関さんて誰から見ても完璧な人だよなぁ…)
私はそんなことを思いながらお湯を沸かしに行った。