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Story〜君の隣で同じ景色を見る〜

第24章 ep24 呼応





ーーー・・・



一年生が合宿の荷物を積み終え、ゆっくりとバスが発車する。

見送りに来てくれた他校のチームと、大学生に頭を下げつつ、及川は天井を仰ぐ。


(なんか神様、最近俺に厳しくないでしょうか・・・)




バスはいつもより小さいサイズのが来て、りこが言っていた通り一人一人が膝に荷物を置き、詰めて座っていた。



当然、いつもは2席使えていたのが使えなくなったため、隣には人が乗る。その隣の人物が・・・




(なんっで、今、絶賛ギスギス中のりこなの!)





まぁ、理由としては、主将は基本的に監督の声が1番聞こえる所、つまり真後ろに座る。マネージャーも近くに座って、降りた後の支持を聞いたりする役目がある。

で、バスがぎゅうぎゅう詰めとなれば、必然的にりこが及川の隣に座ることとなった。



バスに乗るや否や、チームメイトは爆睡しだし、あちこちで寝息といびきが聞こえる。


起きているのは、りこと及川だけだった。






(はぁぁ〜、昨日のことが無ければ存分に手出せたのに・・・)



すぐ隣で気配を感じる。


ほのかに香る、りこの匂い。




ちらりとりこの方を向くと、ノートに何か書いていて、今回の合宿での主務としての反省点をあげているのだろうか、そんなような言葉がズラズラと並んでいる。



(髪の毛伸びたな・・・)



肩につくほどまでに伸びた髪を無造作に耳にかける仕草が女らしい。

時折バスの揺れに跳ねる細い体。



(何かまた、綺麗になったんじゃない・・・?)



その白い肌に見とれていると、驚いたようにりこは顔を上げてこちらを見た。



及川もハッとした。



及川の手は、ボールペンを滑らせるりこの手を止めるように握っていたから。




(やば・・・・・・)




どうしたの?と言いたげに首を傾げるりこ。



及川は、口の形だけで、なんでもない、ごめんと言った。



すると、りこは一度ノートに向き直り、ノートの端に何か書き込んだ。




"合宿お疲れ様!"



その言葉に、心がじんと温かくなる。
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