第23章 ep23 衝動
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昨日のりこと後輩たちの話を聞いてから及川はどこか胸のあたりがモヤモヤとしていた。
矢巾の朝飯のヨーグルトを奪ってやっても、その心は晴れないしその後岩泉にどつかれでも心はスカッとしない。
(りこがあんなふうに思っていたなんて想像してなかった・・・)
自分の方が、及川の気持ちより大きいなんて・・・
元々気持ちは測れるものではないけれど、
それでも、何か、
りこを想う気持ちが、半分も彼女に伝わっていないのかも、そんな気がしてならなかった。
練習試合の合間、ボトルを飲みながらちらりとノートを整理しているりこを見やる。
いつもと同じ、変わらない。
大切にしているつもりだった。
でも、俺が気づいていなかっただけで、りこは何か不安を抱えているのかもしれない・・・ーーー
そう思ったら思ったで・・・
「だーっ!もうりこに触りたくてたまんない!」
言葉が感情が激情が溢れて止まらなくなる。
合宿4日目の夜、今度は一、二年が映像を見に行っていて部屋には3年生が明日の最終日に向けてのミーティングを行っていた。
バレーの話は、意見がポンポンで尽くしそれをまとめ、手短に終わった。
試合間でちょこちょこ話し合っていたし、改まって話すことは少なかったから。
すると、花巻の、
及川、何か溜まってそうな顔してんな
この一言で及川の感情が爆発した。
「おー、珍しく直球だな。何?最近ご無沙汰か?」
この手の話題にはにやりと口端を上げて食いついてくる花巻。
「ご無沙汰も何も、俺りこと何っにもしてないし!」
その言葉にぎょっとどよめく同期たち。
「お前どうした・・・何か悪いもんでも食ったべ?」
「及川が、意外すぎる」
花巻に続いて、興味無さそうにしていた松川まで及川の近況に驚く。
「来るもの拒まず去るもの追わずの及川がりこには自分から行ったり、なよなよしたりしてたから、まさかとは思ってたが・・・」
「人って変わるんだな」
「お前ら俺をどんなやつだと思ってたの」