第21章 ep21 交差
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合宿は毎年、青葉城西のOBが多く進学している大学で行われる。
県外の親しく、そしてレベルの高い高校を集めた合同合宿になる。
大学に到着すると、一年生は先にボールケースなどの荷物を持って体育館へ入っていく。二、三年もその後に続き、マネージャーのりこは監督に連れられ手土産を片手に、他の監督たちの挨拶回りへ向かった・・・・・・
りこが戻ってきたのは、青城がストレッチ、アップ、パス、レシーブ練習が終わる頃だった。
ボトルの入ったカゴや、ノート、ストップウォッチを抱えたりこが入ってくると、体育館内の男たちがちらちらとりこを見る。
「あれ、どこのマネ?」
「めっちゃ美人じゃん」
「やっべー、もろタイプだわ」
そんな声が聞こえる。
「チッ。あいつら、りこさんのこと見てんじゃねーよ」
「なんでお前が怒んだよ、矢巾」
すかさず突っ込む岩泉。
「ま、俺たちにもやーっと念願の女子マネが入ったからな、自慢くらいしたいよなぁ」
イタズラっぽい笑みを浮かべる花巻。
「烏野のマネといい勝負できると思うぜ」
「確かに。あのマネにだって引けを取らないですよりこさんは」
金田一が花巻の言葉に食いつく。
「ま、俺はどっちかっていうとりこの方が好みだけどな」
「おーまーえーらー・・」
ちらりと振り向くと、及川が今までにないくらい眉間にシワを寄せている。
「す、すまん・・・」
「すんません・・・」
威圧感に負けて謝るが、その直後パコっと言う音と共に及川の頭に何か当たった。
「こらっ。そんな今から力んでちゃ、合宿もたないよっ。リラックス、キャプテン!」
いつの間にか及川の背後にいたりこが、自分の持っていたノートで及川の頭を軽くはたいたのだった。
「あ、うん・・・」
突然のことに不意をつかれて及川は頷くしかできなかった。
お前の事だよ、と突っ込みたくなったが。
(りこさん、及川さんを出し抜いてる、すげー・・・)
他のチームメイトがそう思っていると、
りこはニッコリ微笑んで、及川をそしてチームメイトの顔を見た。