第18章 ep18 景色
そんなチームの主将でいることは、本当に大変だと思う。
チーム全体を広く長い目で見つめ、導き、
そして自分自身の進化を止めない・・・
それがこのチームでできる及川は、本当に素晴らしい選手だと思った。
きっと、もう器が果てしなく違う・・・
「徹くんは、こんな所まで、きちゃったんだね・・・」
りこよりずっと、遠く、遠い存在になるまで・・・
隣にいるのに、ずっと遠い存在になっている
(あの時、隣のコートで見てた貴方はもうどこにもいないんだね・・・)
「どこにも行ってないよ」
「・・・・・・え?」
りこの心を読んだかのように及川は言った。
「俺は、小学校の頃、りこが見ていたものが見たかった」
誰よりもボールを追いかけて、
高く飛んで、
どうしてそんなに笑顔でいられるのか・・・
その笑顔の先に、どんな景色を見ているのか・・・
「俺は知りたかった。りこが見ていたものが・・・」
「私が見ていたもの・・・」
あの頃はただ純粋にボールを、勝利を追いかけていた・・・
何一つ黒い感情を知らずに・・・
「だから、りこが居なくなっても、ずっと探していた・・・」
中学で、高校で、ただ必死に、時にはつまずいて、ぶつかって、立ち上がって探し続けた・・・
「そして、見つけて来たんだ」
仲間がいてくれる楽しさ、
ボールを追いかける楽しさ、
我武者羅になっても答えが見えない時の苦しさ、
答えが見えた時の清々しさ、
努力する辛さ、
努力が報われた時の歓び、
夢に向かう時の息苦しさ、
夢を掴んだときの、幸せ・・・・・・
「りこが見てきたものを、俺も見てきた、ここで・・・・・」
この場所で・・・。
「りこに追いつくために・・・」
「私に・・・・・・・・・?」
君があまりに、
その姿で誘うから、
記憶にその姿を遺すから・・・・・・
俺はまんまと追いかけたんだよ・・・
「そう、だから、今度は・・・」