第13章 ep13 変化
バレー部全員が揃うと決まって盛り上がるのは、
「お前らまだ付き合ってねーのかよ!」
自分と、りこの近況だった。
「声が大きいよ、まっきー」
人差し指を立ててしぃーと、制する。
「いや悪い、ここまで来るとネタとかじゃなくお前の人間性の変化に驚いてるぜ」
「さらっと失礼なこと言ったね?言ったね?」
花巻の言葉に、他の同期たちも頷く。
「確かに今までのチャラチャラ及川なら、もう完全に手中に収めてるって感じだったけど、あの子に対しては何か違うな」
松川の言葉に、花巻はそうそれ!と指を指す。
「何か普通の高校生らしいっつーかな!若さのある恋愛みたいな!」
「俺だって普通の高校生なんだけど!?」
好き放題言うチームメイトに一々ムキになって言い返す及川。
言いたいことを何でも言える仲間。
この空間の居心地のよさは、やはり、格別だった。
「そりゃあ、俺もりこと先に進みたいって気持ちはあるけど、りこにはりこの事情があるってわかってる。無理に聞き出そうとはしないし、りこが打ち明けてくれるまで、辛抱強く待ってるよ」
「ま、こないだは我慢出来なくてキスしたらしいけどな」
花巻の言葉に、また笑いが起きる。
その様子を、岩泉は静観していた。
以前りこが、岩泉にだけ打ち明けてくれた過去を思い出し、そして彼女の言葉も思い出した。
まだ、話すには、心の準備ができていない・・・
そう言っていた彼女は、これまで及川に関わり、どれだけ心を開いていったのだろうか・・・
ここ最近の2人の様子を見ていると、
もう、その時は来ているのかもしれないと感じていたが・・・
(・・こいつなら、大丈夫だ・・・・・)
口には絶対に出さないが、今の及川になら、りこは任せられると岩泉は思っている。