第28章 ep28 実感
それと・・・
《セットカウント2-0 白鳥沢学園高校の優勝です》
自分が教えたことをできたとしても、負けてしまうことは、選手と同じくらい、悔しかった・・・・・・ーーー
宮城に帰ってきて、マネージャーとして参戦した最初で最後のインターハイ、結果は準優勝だった。
あと一勝、あと一つ勝てば、全国へ行けた。
悔しい気持ちが消えない。
(みんな、調子が悪かった訳じゃないのに・・・)
その上を行った白鳥沢。
及川の高校のバレー選手としてはかなり磨き抜かれた人だと思ったが、白鳥沢のエースは、それをねじ伏せるように君臨していた。
彼に決められる度に、青城が、青城でないような、初めての感覚に陥った・・・・・・。
(みんな、大丈夫かな・・・)
試合後に、ボトルを流しつつ、りこはチームメイトを思った。
コートにいる選手も、控えも、上で応援してくれていた選手もみんな、表彰式では悔しそうに唇をかんでいた。
ぶら下がった銀色のメダルが鈍く輝く。
今の青城は、2番なんだと主張されている気分だった・・・
ーーー・・・
表彰式が終わり、全員バスで学校まで帰る。
監督の総評、事務連絡を終えると、一同は解散した。
りこはすぐさまパソコン室で今回の試合結果を、学校に貼り出すポスターを作成した。
次回も沢山応援に来てもらえるように、自分にできることをやっていた。
辺りはすっかり暗くなり、ようやく帰路につこうとしたりこは、まだ体育館に明かりがついていることに気づいた。
そっと中を覗いてみると、りこは目を見開いた。
体育館中に無数に転がるボール。その中でサーブを打つ及川、それを受ける渡、矢巾がトスをあげて、金田一と国見のブロックを打ち抜く岩泉。
つい数時間前まで決勝戦をしていた筈なのに、また、ここでバレーをしている彼らにりこは驚きを隠せなかった。
「お、りこさん、お疲れ様っす!」