第25章 ep25 繋想
「だから、今・・・りこが幸せだと思う記憶の中に・・・俺はいる?」
りこはすっと目を閉じた。
あの時再会してから、いくら避けようとも及川は目の前に現れた。
どんなに過去を話したがらなくても、変わらずに笑って、側にいてくれた。
泣きながら過去を話した時も、この温もりが離れていくことは無かった。
ずっと、ずっと手を差し伸べ続けてくれた・・・・・・
温かく包んでくれた記憶ばかり・・・
それを幸せと呼ぶのなら、きっと・・・
「うん、いるよ・・・・・・」
目を開くと、あなたが・・・
心の真ん中に、あなたという光がある。
信じられる。信じたい・・・。
「私の心の中は、徹くんでいっぱいです・・・」
私はひとりじゃない。
あなたがいてくれるから、
もう、何にも怖くないよ。
「ありがとう・・・っ」
涙が溢れそうになる。
及川はそんなりこの頬に手を添えて、ゆっくりと息を吐く。
「俺は、口先だけでりこを幸せにする気なんて無い。今までも、これからも。だから、この言葉はこれからの自分へ、有言実行するためのものだ・・・」
ずっと、本当はずっと言いたかった。
けれどこの時まで、言うのを我慢してきた。
彼女が、本当に自分を信じてくれていると、わかるまで・・・
今なら言えるーーー・・・
「りこ、お前が好きだ。愛してるよ」
やっと言えた、全ての想いをこの言葉に託した。
遂にりこの瞳からは涙が溢れ、言葉を紡げず、
何度も頷いた。
「・・・わ、たし、も・・・・っ・・好きっ!」
呼吸が整わない中で、精一杯りこも気持ちを込める。
この言葉に、どれほどの意味が含まれているのだろう。
あまりに多くあって、重くて、切なくて、ただ幸せで・・・
想いを通じ合った2人はどちらともなく唇を重ねた。
二つのものが、一つになるように、
永遠に繋がり合いたいと願うように、
何度も、何度も・・・ーーー