第4章 *目覚めの時と暗闇*
「ルイ様…!プリンセスは見つかりましたでしょうか?!」
パーティーの招待客が全員帰りきった頃、デュレー大公が息を切らしながら俺の元へ駆け寄ってくる。その様子から見ると、デュレー大公もユイを見つけきれていないようだった。
「それがまだ……」
「そうですか…私も見つけることができませんでした……本当に申し訳ございません……」
その謝罪には、ユイを見つけられなかったことだけでなく、自分の晩餐会に参加してこうなってしまったことなど色々な意味が込められているのだろう。
「いえ、どうかお気になさらないでください。後日、このダンスパーティーの招待客の方にお話をお伺いしてもよろしいでしょうか」
そう言うと、デュレー大公は「実は…私は今この話をするためにルイ様の元へ来たのです」と先ほどよりも真剣みを帯びた顔で俺を見つめる。
「実は…招待客の方の中に少し気になるお方がいまして…」
そして、デュレー大公は『シリル』という名を口にした。
「シリル王子…私は一度しかお会いしたことはありませんがとてもいい方だった覚えがあります」
もう昔の事なのであまり鮮明には覚えていないが、確か自国とその国民の暮らしを豊かにしたい、言っていた。
「私もあまりシリル王子と親交が深いわけではないのですが、今回のダンスパーティーに招待したのです。その後参加が出来ないとのお返事をいただいたのですが…」
パーティーなどの催し物の際、招待客から参加が出来ないと返事を受けるのは珍しいことではない。現に俺も他の公務などの影響でその返事をしたことは何度かある。
(それだけでは何もおかしいところはない…)
そう思っていると、デュレー大公はゆっくりと口を開いて言った。
「実はその後、ちょうど今日から数えて四日前にやっぱり出席させて欲しいと連絡があったのです」