第3章 *歪んだ愛とその先に*
パンッ…!パンッ…!パンッ!
部屋の中にだんだん早くなる律動の音とベッドが軋む音、そして私の声だけが響く。
「もう一度…イきますよっ…!」
「ああっ!」
リアム王子のものが素早く引き抜かれ、私の顔に白濁のドロドロとした液体がかかる。
これでもう何回目かも分からない。もう抵抗することもできない私は、リアム王子に幾度となく達せられていた。
「はあっ…!…っは!もう…これ…いじょうは…」
──お願いだからやめてほしい。薄れゆく意識の中、どんどんルイの姿が遠くなっていくのを感じる。
「おや、もうですか。では貴方の意識があるうちに伝えておきましょう。私は仮にも一国のプリンセスを犯しました。本当は私の国で貴方と暮らしたかったのですが……」
一瞬リアム王子の顔が悲しみで歪んだ。
「ウィスタリアは大国ですし官僚や騎士団も優秀です。すぐに私は捕まってしまう。死刑でしょう。でもこれだけは忘れないで下さい」
────私が死んだとしても、貴方は逃げられません。もしも貴方があの侯爵と結婚式を挙げたりしたなら…私の手下があの侯爵の過去を全てばら撒きます。これがどういう事か……言わなくてもお分かりになられますよね?
朦朧とした意識の中でも、それはすぐにわかった。そんなことをしたら
ルイが今まで必死で積み上げてきたものが、崩れてしまう
「ですが、もうじき捕まると分かっていても、その瞬間を貴方に見てほしくはありません……ですから…一度眠ってください。起きた時には、目の前に私はいません」
さようなら、ユイ様
そして再び奥から突かれ、私の意識はそこで途絶えた。
でも、意識を失う直前に見てしまったリアム王子の涙が、あまりにも人間的で、脳裏に焼き付いて離れなかった。