第5章 闇夜の調べ
苦しそうなハイデスさんの声が聞こえる。
でも不思議と、それ以上の恐ろしい程の刺激は襲っては来ない。震える身体でハイデスさんにしがみつくが、息を整える間にゆっくりとその感覚は治まっていく。
何が起きたのかとか、朦朧とする意識の中で考えられることなど何もなくて、ただ全身が震えるような快楽に耐えていた。
苦しそうな声が、まだ私の耳に届いている。
「っ、ハイデス、さん……?」
ぜいぜいと息を吐き、苦しそうなハイデスさんと目があった。その瞳は酷く熱に浮かされていて、どうしようもないくらいなのに、不安そうに私のことを見ていた。
「あ、あぁ……ッ、…アンリ、?苦しく、ないのか?大丈夫、なのかい……?」
何の事だと、聞こうとしたがその前にハイデスさんがまたゆるゆると動き出した。
「っ、あっ!んッぁ、や、うごいちゃ…っ!」
奥を揺するその動きだけで、先程の熱が振り返してくるようだった。まるで甘ったるい感覚を私の奥底に擦り付けられているみたいだ。
「ッ、あぁ、アンリ、アンリ…、……そうか……、そう、か……もう、いいんだな」
何かに納得したかのような、そんな自問自答とも言える言葉をハイデスさんが発したが、その言葉の意味を理解する余裕などこの時の私には出来る筈も無かった。
グズグズに溶けてしまいそうな私の身体にハイデスさんが何度も口付けてくる。しっとりと濡れた肌を甘く吸われたかと思うと、ピリリとした刺激が走る。
首、肩、胸元と何度もハイデスさんが私の体に赤い花弁を散らしていく。
「ん、っふ、ぁ…」
甘く擽ったいくらいのその刺激に、無意識に私の中のハイデスさんのものを締め付けてしまう。
硬さを増したハイデスさん自身が私の奥をごちゅりと刺激した。
「、…ぁあっあ!」