第47章 華
小さな背中を見つめてから、ふわふわ浮かぶ綿をつかむようにそっと腕を引くと、不思議そうな顔で振り返った。
それから微笑んで、首を傾げて。
何度も見たくなる笑顔。
俺に向けられていると思うと、頭の先から足の先までしびれに似た喜びが走って
お前を閉じ込めたくなる。
ずっと目の届く場所にいてほしい。
強く抱きしめると応えるように背中に腕が回されるが、小さな腕では俺の背中に回しきれなくて
逆に俺は余裕すぎて、お前を包んで自分の腕もつかめるほど。
あたかかくて柔らかくて、優しくて小さくて。
全てが俺と正反対。
だからこそ惹かれる。
―――可愛い…
「…ダンテ、あったかいね」
「そうか?」
「うん。安心する…」
ならきっと、その温かさはお前がくれたものだ。
お前がいなきゃ、俺はきっと冷たいままだっただろう。
ずっと。
そっと唇に唇を寄せる。
重ねると、甘い温かさが身を包んだ。
2007/3/25