• テキストサイズ

【DMC】ダンテ夢短編集

第26章 正直には正直な返答を



いい加減にして。何度そう言っただろう。

大好きな部分の裏返しで見える嫌いな部分。
見せつけられては嫌になり。個性とか性格とか言えば聞こえはいいけど、どうしても嫌な所はあるもので。

でも離れて冷静に考えるてみるといつも馬鹿馬鹿しいものばかり。
どうしてあんな事言ったんだろう。自分を棚に上げた勝手な言い分。

怒りは怖い。仮面を割った底に僅かにある不満を酷いくらい大げさに言う。
嫌いとか言っちゃったんだけど。どうしよう。


自室のベッドで最初はダンテへの文句。
でも次第にどうやって謝ろうか考えてる。

怒るのは簡単なのに謝るのは難しいのね。
正直ほど難しい事はないものね。

でも。
貴方は。


携帯が着信を告げる。
ディスプレイに表示される名前を見て、私の動きは止まった。

ためらって。
たっぷり間を置いてみて。

途切れない電話。
ゆっくりと取り、通話ボタンを押す。
耳に携帯を当てる。

「……………」

無言。
切り出したのは彼だった。

「ごめんな」


私は思わず笑ってしまった。
だってここは家の中。二人の距離は歩いて5秒。

「私もごめん」


正直には正直な返答を。






2007/11/04
/ 240ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp