第19章 苺飴
甘い甘い苺の味。ころころと歯に当たる飴。
雑誌をめくりながらソファでが寝そべっていると、ダンテがやってきた。
「ん。何食ってんだ?」
の口が動いているのを目ざとく見つける。覗き込みながら尋ねてきて。
雑誌から顔を上げた彼女はテーブルの上を指さした。
「苺飴。さっき買ってきたの。食べていいよ」
そう返すと、ダンテは苺飴の袋を手に取り眺めた。
ひとつ摘まんでは不思議そうに指先で弄ぶ。
その様子を見ていただったが。
ダンテがふとにやりとした。そして顔が近づいたと思ったら。
唇と熱がが重なって。
「んっ…」
油断をいい事に一瞬で舌がぬるりと入る。
こんな時に何を、と思ったら、舌は口内を荒らしたりはせずに一直線に飴に向かった。
器用にそれを包み、の口から飴を奪う。
「ふ…な、にやって…っ」
押さえつけられる顔を無理矢理離して抗議したら、ガリッと飴が砕かれる音。
あ、と思ったらまた重なる唇。
そうして、半分以下にされた飴が帰ってきて。
「お。うめーな」
至極満足そうなダンテ。
「…何でこんなめんどくさい事すんの」
恥ずかしさ最高潮の。
だっての口からの方がうまいだろ、と当たり前のように言ったダンテに、クッションを思いっきり投げつけてやった。
2007/09/15