第30章 癒されたい※へし切長谷部R18
ぼんやりと横たわっていると、さすがは気の利く長谷部。
用意していたかのようにサッと温かい湯と手ぬぐいを持ってくると、優しく体を拭ってくれた。
そして、彼は誇らしげな表情で私に声をかける。
「主、俺のマッサージはいかがでしたか?体の調子はいかがでしょうか?」
「…………え?」
思わず、間の抜けた声がでた。
感想、言うの?ただでさえ恥ずかしかったのに。
まさかの羞恥プレイ?
「審神者にマッサージをするのが、他の本丸でも流行っているそうです。」
え、なに?流行っているの?
みんなしているの…………あれを!?
「そもそも……あれ、マッサージじゃないでしょうにっ!」
「え……マッサージじゃない?先程のがですか?」
「違います!断じて!」
勢いよく否定すると、長谷部がシュンとしてしまった。
その表情が私の胸にズキンと刺さる。
え、なに、この……罪悪感。
「まぁ……中にはその、性感マッサージとかもあるにはあるけど……」
何故、私が長谷部をフォローしているんだろう。
「そ、そもそも!一体誰に教われば、ああなるの!?」
そうだ。そこよ!問題は!!
長谷部は真面目な男士だ。
誰かが冗談で教えたことを、長谷部が正直に信じたに違いない。
一体、誰よ!
「山姥切…………長義です」
「は?山姥切?長義?」
え?
意外な名前に思わず固まった。
「審神者にマッサージを施すと、神威が高まるといって……」
そう言って、長義は長谷部にマッサージの活動写真を渡したそうだ。
それって、つまり。
「あ、あ、アダルトビデ……オか」
山姥切長義ぃぃ!
ぬわぁあにを長谷部に吹き込んでくれちゃったわけぇ!
政府から送られてきた刀剣男士である、山姥切長義。
その彼が言ったことなら、信じてしまうだろう。
「主、すみません」
「いいの、気にしないで……長谷部」
目の前でしおらしくなっている長谷部を見たら、山姥切長義を責める気になれなかった。
それに。
「神威が高まったかはわからないけど、また…………お願い、しようかな」
また、してもらいたいって、思ってしまったから。
今回の件は不問にしてあげよっと。
終