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君想ふ

第4章 陰陽師と妖


「言っとくけど、これは相手が人でも妖でも変わらないわ。怪我を負っているのなら完治とまでは行かなくても問題ないくらいに治るまではここにいてもらう」
「何故敵である妖にそこまで構う」
「何故、ねぇ…。何でかしら…」
問われ、幼い日のことを思い出す。
キッカケはまだ妖のことも陰陽師のこともよく知らなかった時のことだった気がする。一度、怪我した妖を助けてそれをお祖母様に見つかってから"妖とは関わるな"と、キツく言われ出したのだったか。
「まぁ、妖用の薬やらはちゃんとあるから安心なさいな。封印だ退治だとかする気も無いからね」
「陰陽師の言葉など信じられんな」
「いいわよ、信じてくれなくても。ただ私がそうしたいだけだもの」
そこで話を区切ると、千音は寝室を出てリビングへ行き冷蔵庫にある食材を確認した。
(んー、さすがに油揚げは無いか。…まぁ和食にしておけば九威那も食べられるわよね)
そう結論づけ、早速夕飯の支度に取り掛かる。
すると、小狐のままでトコトコと歩いてくる九威那。
「何をしている」
「何って夕飯の支度よ。生憎と油揚げは無いから、とりあえず和食で作るわね」
「…料理なんてできるのか」
「伊達にひとり暮らししてないわよ」
そんな会話をしつつもテキパキと作る千音。程なくしていい香りが漂ってくる。
(……まぁ少しくらいならここにいてもいいか)
九威那もそう思い直すと、妖の姿に戻り近くにあった椅子に座って夕飯が出来上がるのを待つことにした。

こうして千音と九威那は共に暮らすことになったわけだが、九威那は果たして無事に妖界に帰ることが出来るのだろうか…。
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