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君想ふ

第4章 陰陽師と妖


無事家に着き、寝室へ行けば彼はスヤスヤと眠っていた。
(何でそんなに適応力高いんだよ…。普通どこの誰かもわからん奴の自宅で寝られるか…?)
そして顔を顰め、のそのそと漸く起きた。
「どうも不審者さん」
「…………誰だ貴様」
「今朝名乗ったんですけどもう忘れたんですか」
「………嗚呼、土御門…。お前陰陽師か?」
(随分と直球だな!?コイツ馬鹿なのか!?)
それはさて置き、質問に答えねば。
「あ、ああ。まぁ陰陽師の土御門だけど」
「この俺を拾ったのは妖狐族の族長と知っての事か?」
「……………え?」
いまこの妖(?)はなんと言った?妖狐族の族長…?
(いやいやいや!待てよ!?そこもそうだけど"拾った"って言った?妖狐族って言ってるし昨日の小狐なの!?)
早速混乱してきた。昨日見つけた時の、あの可愛らしい小狐とは似ても似つかぬ上から目線。しかもこの仏頂面ときたもんだ。
「貴方が…あの小狐…?全く結びつかない…」
「ならばこれで理解できよう」
そう言うとポヒュンと効果音がつきそうな感じに(自称)妖狐族長が小狐へと変化(へんげ)した。
「お…おお…!!」
触らずとも見るだけで分かるほどのふわふわとした毛並み。ぴょこぴょこ動く耳。そして八つに別れた尻尾。千音は目を輝かせながら恐る恐る手を伸ばす。
(可愛い…モフりたい…めっちゃくちゃモフりたい…!!)
「俺の名は御狐神九威那。現妖界最大勢力である妖狐族の族長…って話聞いてるかお前」
「うん、聞いてる聞いてる」
(絶対に聞いてないなコイツ)
「前置きはいいよ。結局のところ何が言いたいの?」
「…つまりだな、俺を妖界へ通じる道へ案内しろ」
「は?何いってんの?」
千音は本当に”何いってんの?こいつ馬鹿なの?”といいたげな目を向ける。
「陰陽師の者ならばそれくらい分かるだろう!早く案内しろ!!」
「嫌よ。そう簡単に帰らせると思う?」
「チッ…。やはりなにか企んでいるな?」
「違うわよ。企むとかそんなのじゃなく、そんな怪我負っている奴をそのまま返すなんて無理って言ってるの」
真剣な表情でそう言う千音を九威那はじっと見つめる。
(本当にただそれだけか…?)
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