第5章 海の中の真実
昼食後、女が部屋にやって来た。俺の方が早く食べ終わったので、すでに部屋に戻って本の続きを読んでいたところだった。
「失礼します」
控えめに扉が開き、女が顔を出した。手近にあった短刀を持つと、扉の前にいたそいつがこちらに歩いてきた。
短刀を持ち直し目の前の手首についた鉄の輪っかを手にかけた瞬間、大きな音と共に船体が大きく揺れた。
「ぅ、わっ!?」
その反動で二人ともバランスを崩し、女に覆いかぶさるように倒れてしまった。
床に頭をぶつけたようで、目の前で涙を溜めた瞳が揺れている。ハッとしたように俺と目線を合わせると、みるみるうちに目が見開いてゆく。
「キャプテーン!海軍が攻撃してきました!」
どうやら大砲が船の真横に落ちたようだ。“チッ”と舌を鳴らして女から飛び退いた。素早く立ち上がり壁に立てかけてあった鬼哭を手にして部屋を出ていく。
勢いよく扉を開けて外に出ると小さめの軍艦が2隻浮かんでいて、どちらも大きな大砲をこちらに向けていた。
「撃て!」という声と共に黒く光る玉がこちら目掛けて飛んで来ようとしている。
二隻ならどうということはない。さっさと片付けよう。手をかざし、いつものように“ROOM”を出そうとした。
「…………!?」
どういう事だ。出せない。何故出ない。
「………チッ…おい!潜水しろ!!」
いくら出そうとしても“ROOM”は出ない。焦ったように潜水を促す。船の真横にドボンと砲弾が落ちる。クルーは「アイアイ!」と慌ただしく潜水の準備をした。
全員が中に入ったのを確認し、扉を閉めた。
舵でなんとか軍艦から飛んでくる弾を避けながら、中で潜水の準備を進める。
「潜水しまーす!」
クルーの声が響く共に船体が揺れた。海の中に入ったようだ。
ゴゴゴゴと音を立てて海の中を進んでいる。海軍の船から上手く逃げることができたが………。
俺は今それどころじゃない。