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黒子のバスケ ~保健室~ ★ 黒子

第1章 黒子くんが風邪引きました。


「黒子くん、いますか?」
そう言って保健室に入ったが返事はない。保健室の先生もちょうど席を外しているのか見当たらない。
保健室には誰もいないかと思ったが、ベットのカーテンが1つだけ閉まっていて、そこから咳き込む声が聞こえてくる。カーテンごしに声をかける。
「黒子くん?」
すると眠そうに返事がくる。
「…はい。…その声は、…麗子さん?」
「そう、よくわかったね。…黒子くん、大丈夫?」
「ただの風邪です。」
強がって言っているが、その直後咳き込む黒子くん。
「そっち、…行っていい?」
「ダメです。…麗子さんに、うつしてしまったら…嫌ですから。」
反則だ。勢いよく黒子くんのいるベットのカーテンを開けた。
「…麗子さん、風邪がうつってしまいます…。」
熱があるのか、黒子くんのほっぺはピンク色だった。心配そうにこちらを見つめてくるので、キスをする。
「…麗子さん、話聞いていましたか?」
もう一度キスをしてから、私は口を開いた。
「聞いてたよ。」
呆れた顔で黒子くんが言い返す。
「…じゃあ、なんで…」
黒子くんが瞳を細めた。
「…早く治って欲しいの。」
黒子くんの練習風景が、頭に浮かんだ。
「ウインターカップ、もうすぐでしょ?」
バスケットボールが跳ねる音と、バッシュのキュッキュッという音がそれに加わり、より鮮明に黒子くんの練習を思い出させた。
「…そうですけど…」
納得がいかない感じの黒子くんに、笑いかける。
「風邪はうつすと早く治るって、言うじゃない ?」
「言いますけど…」
まだ何か言いたそうな黒子くんの唇を人差し指で塞ぐ。
「日本一になるんでしょ?」
すると、黒子くんの目の色が代わり、もちろんですと言わんばかりに私を見た。
「風邪は私が引き受けるから、黒子くんは早く元気になって、いっぱい練習して…」
そう言ってキスをしようとしたら、今度は私の唇が黒子くんの人差し指で塞がれる。
「…名前、読んでください。」
突然の甘い声に心臓が締め付けられた。
「へ?…ぁ…て、…テツヤ…。」
「…はい、ありがとうございます。」
にっこり笑う黒子くんのほっぺがまた赤くなっていた。
今度は黒子くんから唇を重ねられる。
…熱い。
「…麗子さん。」
「…はい…」
少しでも動いたら唇が当たってしまいそうな距離で黒子くんは私を見つめ、呟くように言った。
「お言葉に甘えさせてもらいます…」
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