第2章 Passing each other 【ルカ視点】
「あんたなんか…っ、嫌いだ!」
「お前の嫌いは、好きの裏返しだろう?」
「うるさい!」
そうだよ。好きだよ。
だけど、そんなこと恥ずかしくて言えない。
つい、反対のことを言ってしまう。
初めて好きになった相手が、
男で、血の繋がりのある実の兄で。
しかも赤と黒、対立してるから
こうして二人で会えるときなんて
数える程しかない。
こんなときくらい、素直になりたいのに。
素直に言えない自分が情けなくて。
「……ルカは、やっぱり俺が嫌い?」
「え………?」
「お前は、あの時以外好きと言ってくれないだろ?」
──あの時
『え……?ごめん、ルカ…よく聞こえなかった、かもしれない…。』
『だから…っ、あんたが…ヨナが、好き…。///』
『……幻、じゃないよね?……夢じゃ、ないよね…。』
『当たり前、だろ……っ!///』
好きだ、好きだよ。
この世界で誰よりも。
でも、言葉にできない。
できないなら…行動で表すしかない…。
震える手を伸ばして、
愛しい人を引き寄せる。
心臓が激しく動悸する。
顔中に熱が集まってくる。
ゆっくりと顔を近づけ、
触れるだけのキスをした。
「ル、ルカ……。///」
「だ、まって…。///」
想いが伝わるように
何度も何度も繰り返す。
「ルカ……っ!」
「んっ、ふぅ…っ!///」
突然、後頭部をおさえられて
深いキスをされる。
絡まる舌が俺の心も縛り付ける。
銀の糸が引いて、唇が離れると
ヨナは苦しそうな嬉しそうな
微妙な表情をしていた。
「あ、んなことされたら…我慢ができないだろ…っ。」
「我慢、しなくて…いい…。///」
「ルカが愛しすぎて…もう、抑えが効かないよ…っ。」
再び噛み付くようなキスをされ、
その場に押し倒される。
性急に乱される服が、
ヨナの余裕のなさを
物語っているようだった。
「俺、だけ裸なの…恥ずかし…ぃ…。///」
「だったら…ルカが、脱がせて?」
ふるふると首を振る。
でも、熱っぽい瞳で見つめられると
─逆らえない。
静かな部屋に、衣擦れの音が響く。
俺たちの夜が来る…。