第6章 新しい命と失われた命
しばらく泣いたあと、3代目が後ろに立っていることに気づいた。
『3代目...』
「ツバキ...」
3代目は何を言えばいいか分からないようで、名前を呼んだ後に、黙り込んでしまった。
『3代目..お願いがあります。』
「...なんじゃ?」
未だに止まらない涙を気にもとめず、そっと、優しく二人の手を置き、立ち上がった。
『二人の...ミナトさんとクシナさんの子供に会わせてください。』
私は3代目をじっと見つめながら言った。
「...ああ。少し、待っておれ」
3代目はしばらく私の目を見ていたが、ため息をつき、どこかに歩いていった。
その間、私はミナトさんとクシナさんの顔をずっと見ていた。
貴方たちが、命をかけて守った里を..私も守ります。
どんなことがあろうと守り通します。
「待たせたのぅ」
『...』
3代目が抱えているものを、静かに受けとる。
今私の手の中には、生まれたばかりの赤ん坊。
スヤスヤと眠っている。
『...』
座り込み、そっと、頬に触れてみる。
柔らかい。
.....なにより、
『暖かい』
私は、ミナトさんとクシナさんの子供を...ナルトを少しだけ力を入れて、抱き締めた。
『...貴方の、両親は守れなかった..だけど...あなたは必ず私が..』
貴方たちの残した大切なものを、
絶対に守ってみせる。