第6章 新しい命と失われた命
しばらく...動けなかった。
いつの間にか涙も止まっていて、結界はなくなっていたのに何も出来ずに、ただ座り込んでいるだけ。
暗部の人達が視界をかすめる。
それに、やっと反応したかのようにゆっくりと立ち上がり、二人のそばへ歩いていく。
「おい!こらっ!ここは子供がくる..!」
ツバキをその場から遠ざけようとした暗部の者を3代目が止める。
「3代目様!」
「良い。あの子は...知り合いの子じゃ」
そんな会話も聞こえてこなかった。もう、首の痛みもない、痛いのは..心だ。
倒れている二人。その近くに座り、二人の手をそっと取りだし、握る。
『...冷たい』
そこで、また涙が溢れだしてきた。
さっきたくさん泣いたから..もう出ないと思ってたんだけどな..
そんな事を考えながらも涙はどんどん溢れだしてきて、頬を伝い、冷たくなった二人の手を濡らしていく。
死んでほしくなかった。
生きていてほしかった。
もっと、色んな事を教えてほしかった。
もっと、色んな所に一緒に行きたかった。
“ツバキといるときは楽しいよ。まるでクシナといるときみたいにね!”
“ツバキちゃんはご飯も作れるのね!その年でなんでも出来てすごいってばね!”
二人の笑顔が頭の中に浮かび、私は我慢できずに、二人の手を自分の額に当てて、嗚咽を我慢しながら...泣いた
『ふっ..っ...うっう..』
そんな私の様子に、3代目は目を伏せながら見守ってくれていた。
目の奥が熱くなって、チャクラが目の方に集中するのがわかる。
ああ、多分..
私はこのチャクラがどういうものなのか、何となく分かっていた。
でも、今は、
この悲しみに浸らせていてください...