第5章 第三次忍界大戦
そこからは、記憶がほとんどない。
残っている記憶は、敵の断末魔と、飛び散る血飛沫。
なぜ、あんな考えが頭をよぎったのかわからない。だが、止められなかった。
突き動かされるかのように、さっきまで動かなかった体が舞を舞うかのように敵の急所をクナイで掻ききっていく。
その時の私は恐らく無表情であっただろう。
何も考えず、何も感じず、私は人を次々に殺していった。
気づいたときには、辺りは血だまり化しており、人がたくさん倒れていた。
『なに..これ、』
これを...私が?
そっと、さっきまで私を追い詰めていた忍たちの元へ近づいていく、
『...死んでる..』
そこには、首を掻ききられて息絶えている、男たちがいるだけだった。
そこに、生きているもの、暖かさのある、生き物は少女以外に存在しなかった
どうやら、最初に倒した忍たちは、記憶のないうちに殺してしまったようだ。
『っ...!誰か...!誰か...!』
少女は..弱々しく、呼んだ。
誰を呼んでいるのかは自分でもわかっていない。今はただ、人の暖かさが欲しかった。
だが、そこには、冷たく、暗い、空気が流れるだけ。
震えて立てなくなったのか、膝を地につき荒い息を繰り返す少女。
やだ。やだ。やだ。
ここにいたくない...!
こんな冷たい場所にいたくない...!
こんな暗い場所にいたくない...!
少女は、両手で自らの顔を隠した。
手からは鉄の臭いがし、慌てて顔と手を離した、だが、辺りからもむせかえるような血の臭いが漂っており、少女は無意識に涙を流した。
助けて...
父さん...
母さん...
ミナトさん...
クシナさん...
イタチ.....
そこで、少女は、糸が切れたように、意識を失い、倒れた。
そこにはたくさんの死体と、血だまり、幼き少女に、一人の..若い男が立っているだけであった。