第1章 プロローグ
「大丈夫ですか!?!?」
「救急車を!!誰か!早く!!」
声が遠くから聞こえてくる~
私は呑気にそんなことを考えながら横たわっていた。
なぜ、横たわっているのかというと、
「何があったんだ!?」
「う、うちの子を庇ってその人がトラックにひかれてしまったんです!」
そう言って子供の母親らしき人が我が子を抱き締めながら泣いた。
そう、私はひかれそうになった子供に向かって走っていき、その子を公園の方に放り投げて助けたはいいものの自分がひかれてしまったのだ。
あー、体痛い。
体を少し動かしただけで激痛が走った。多分私はもう助からないだろう。
短い人生だったな~、まだ私ピッチピチの20代だったのに...
え?でも20代後半じゃん?ほっとけ、
そんな無駄なことを考えていると瞼が少しずつ重くなってきた。
ああ、私死ぬんだな...
そう思い、チラッと助けた子供を見た。
どうやらケガはなさそうだ。
よかった...
最後に少しだけ口角を上げた。
そして、
私の意識は
深い闇の中に
沈んでいった。