第3章 トリップと双子の弟
イタチの頭に手をのせて、ソファーにもたれ掛かりながら眠ってしまった我が子を、ミコトはしばらく見つめていた。
『パパとママが自慢できりゅくりゃいちゅよい忍者になりたい』
『イタチね、ちゅよいの、でも、ちゅよいからきたいされてイタチにばっかり負担かかるかもしえない。男の子は大変だかりゃ、だかりゃ、ちゅよくてカッコいいママみたいな忍者になって、イタチを守りたい。』
そう言いきった。ツバキ。
その言葉を聞いてそんなこと思ってたんだ。とかそんな難しいことをこの年で?とか色々思ったが、一番印象が強かったのが、
「...ツバキちゃんは、イタチくんのことをすごく大切に思ってるんだね..」
「...ええ、この子はいつもそうなの..」
いつでもイタチのことを優先して、いつもイタチのそばにいる。
「私..少し心配なの」
そんな私の言葉にそこにいる全員の視線が集まった。
「この子達はお互いがお互いのことをすごく大切に思ってる。それ自体はいいことなのだけど、今の世の中なにがあるかわからないわ。もしも..もしも、どちらかに何かあって、死んでしまったりでもしたら、もう片方も後を追って死にかねない..」
「「.........」」
「この子達は一心同体で一蓮托生、それに、頭がよくて、とても優しい子なの、だからこそ...とても危うい..」
私はそこまでいうと寝ているツバキの横に来て二人の頭を撫でた。
「うん、なんとなくわかるってばね。なんだか、イタチくんもだけど、ツバキちゃんは特に...なんていうか..執着心?みたいなのが強いような気がするってばね」
「イタチくんがなにか危険なことに巻き込まれたりしたらツバキちゃんは自分を犠牲にしてでもイタチくんを守るだろうね。それは...逆もまたしかり..か、」
はじめて会ったクシナや、ミナトでもそれを感じ取れてしまうほど、
二人の間には、絶対に切れない絆がある。
「うちは一族は愛に深い一族よ。そんな一族の血を誰よりも濃く受け継いでしまったのがこの子達なのかもしれないわ」
そう言ってミコトは外を見た。
外は満月が出ており、そんな満月の隣に、一際大きな二つの星がキラキラと光っていた。