第10章 暗い月夜
あれから5日経った。
が、シスイが目を覚まさない。
シスイが眠っている隠れ家に顔を出す。
『異常はない?』
『うん、大丈夫』
自分の分身に話しかけると、表情を変えずに、頷いていった。
分身を消してシスイに近づいていく、そこには、この前とかわらず、眠っているシスイの姿。
そろそろ、起きてもいい頃の筈だ、なぜ、目が覚めないのか...
...もしかして、死ぬはずだった人間は助けてもずっと植物状態のように寝たきりになって起きないのだろうか、
...このまま寝たきりになると..栄養も取れないし、筋肉も固まる、ここには注射器などの医療道具もないし、まず、私にそんな技術はない。
『シスイ...起きてよ..じゃないと、』
ーーー死んでしまう
せっかく助け出すことができたのに、貴方は..このまま死んでしまうの?
『...やだよ、..シスイ...起きて』
ソッとシスイの頬に手を添える。
視界が霞んでくる。
慌てて頭を振った、
泣いちゃダメ...忍が、そんなしょっちゅう泣いてちゃ、ダメ...
『...また、来るから..』
しばらくじっとシスイの顔を見つめると静かに立ち上がり、飛雷神で家まで飛んだ。
分身を出すことをせずに...
「ふう、どうやら...あの方の眼はそんなに便利なものではないようですね」
普通の忍なら、絶対に入ることの出来ない結界の中に、平然と入ってきた、若い男。
その男は、自分の家に入るようにスタスタと家の中に入っていき、迷うことなくシスイの眠っている場所へ、
「貴方が起きないと...あの方が悲しむんです。私にとって、それは耐えられない」
そこまで言うとその男は、シスイの額に手を当てた。
「あの方の分身がいない今...貴方を..目覚めさせます」
まばゆい光が辺りを包み込む、それは一瞬のことで、結界の外にいた鳥達がバサバサと飛び立つほどの光、
「っ...ん、」
シスイの目がピクリと動く、その瞬間、男は薄く微笑むと一瞬で、その場から...
消えた...