第10章 暗い月夜
『.....』
シスイはまだ目を覚まさない。
あれから数時間が経過して、外も明るくなってきている。
寝ているうちに、シスイの“本当の目”を埋め込んだ。
医療忍術を使えるようになっていて本当に良かったと思う。
『...早く目、覚ましてよ..目が覚めたら、説教だからね...』
つい先日のように目に綺麗な包帯が巻かれた状態で眠っているシスイの髪を撫でる。
満足するまで撫で続けると、スクッと立ちあがった。
『...また、来るからね、シスイ、』
そう言うと、分身を出して、目の前の私にハイタッチをする。
『シスイをお願い』
『任せて、』
そう言うと、私の分身はニコリと微笑んだ。
分身にコクリと頷くと、私は飛雷神で崖の下の方につけていた術式まで飛んだ。
『...そろそろ、帰らないと』
寝不足でボヤける目をしばらく閉じて、深呼吸をする。
そう、寝不足なだけ...
そう、自分に言い聞かせて、帰るための道のりを歩き出した。