第6章 双子王子(弟)
エスト王子との勝負にのったのはいいもの、全く、お目当てのものは見つからない
「ないなぁ…」
「本当に、どこに言ったのかしら」
フローラと一緒に長く探したが全く見つからず
「フローラ、休んでいいのよ、元は私の問題だから」
「いいえ!私の問題だもん!絶対あれを見つけて、エスト王子に謝ってもらう」
と言ってまた探し始めるフローラ。
……いい子だな、フローラは
「でも、グリフィスト王子はどこに行かれたのかしら、エスト王子はあちらで1人お茶しているようだけど」
フローラが言う通り、グリフィスト様はどこにいったのだろうか
「私、少しあっち側を探してみるわね」
確かあそこには料理長ゴドヴィの趣味で作られた畑があったはずだ、そちらにはじょうろやくわの入った道具箱がある。
もしかしたら、そこにあるかも
歩きながら、私は見渡して、あの壊れた時計を探した。
と、いうか、持ち歩くほどあの時計を気に入ったのね。
造りは綺麗だったけど、壊れている、でも使い物にならない時計だ
部屋に飾っておけばいいのに
こちらとしては贈り物を気に入ってくれたのは嬉しい。嬉しいけど……
「あ、グリフィスト様、こちらにおられたのですか」
「…ミア」
髪の艶が今までみた中で一番と言っていいほどなくなっている
これは、何かとても大きな悩み事をしているのね
「エストがすまない」
眉にシワを寄せてぶっきらぼうな態度でそういった。
グリフィスト様、きっと、謝ろうか謝らない方がいいのか悩んでいたわね
「昔から、俺以外には強くあたって、どうか嫌いにならないでやってくれ。」
あ、はい。
初対面でいきなりバカにされましたしね。アホそうな顔ってひどいわよね、私一番気にしていたのに!
……ではなくて
「グリフィスト様、別に私はエスト王子を嫌いになってなどいませんわ」
「そうか…」
グリフィスト様はほっとしたのか顔を少し緩めた
「でも、グリフィスト様、なんでこんな場所に?」