第6章 双子王子(弟)
「ちょっ、泣かないでよ~!!」
一向に泣き止まない。
くっ、どうしよう。
離れた場所から鬼のドスドスとした足音が聞こえてきたわ。
これは、私が泣かせたと勘違いされ…
((ドスン……
……これは、振り向いてはいけないわよね?ね?
隣から、鬼の足音がしたわよ?
「ミア様ぁぁあ……?」
「ひっ、ひぃぃ!!」
満面の黒い笑みのメアリー。メアリー、顔、顔が鬼のようなものに具現化してるわよ。
なな、なに、怖い。
「わ、わわ、私、何もしてないわ、ええ!!」
「ミアお嬢様!!」
「はぃぃいいい!!違うの!!」
メアリー、怖いわ。
すごい威圧感、怖いわ。
「もう…わかってますよ。ミア様が人を泣かせるようなことはしないと」
はぁっと息を吐いた、メアリー
メアリーさん、ありがとう!
そうよ、私、やってないわよ!!
「そうではなく、お嬢様、なんですか!!そのだらしないドレスは!!」
「へ、そこ……?」
ビシッッッと人差し指が私に向かって伸びている。今、風切ったわよ、ビュンって音が聴こえたわ
「今日はカロン侯爵、子息、令嬢が来られると伝えたはずです!!
その服はなんですか…!!」
なんですか……
「寝間着からすぐに普段着になれるお手軽なワンピースよ!!」
「ワンピース!?貴族が平民の着るワンピースを…!?」
「ええ、ワンピース」
「このバカ令嬢!!」
「バカ令嬢!?」
え、ちょっと、メアリーさん!!
「さあ、着替えてきますよ!!フローラ様、お見苦しいところをおみせして申し訳ございません」
その少女、フローラはいつの間にか泣き止んで、目を丸めて私(メアリーに後ろ襟を捕まれている私)を見ている。
「痛い、痛いわ!!メアリー、自分で歩ける」
「逃げようったって無駄ですよ!!」
「あああああ、誰か助けてえええ!!」
フローラという金髪ロング、薄い黄の瞳、天使(みたことないけど)の容姿をした少女に見送られ
私は……
メアリーさんにこのあと、長い説教を聞かされるのだった。
メアリーさん、私をどう思っているの?扱いひどいわよ、メアリーさーーん。