第5章 令嬢の大変な1日
今日は改めて、チェイスに食事のマナーを教えることにした。
このまま、ゼネスがチェイスにあったら、ゼネスは絶対、チェイスを下にみるに決まっ……いや、私の義弟だから、未来の夫目線で義弟としてみるのか
まあ、いい。
私はとにかく、チェイスに食事のマナーだけは教えておきたい
「チェイス、そこ、違うわ……どうしてできないのかしら」
責めているわけじゃない。おかしいのだ、あんなになんでもすぐこなせたチェイスが食事マナーだけは直らない
「ごめん……」
シュンッ
捨てられた子犬のような目でみないで…!
「美味しいものをみると、ついつい癖が」
「そう……料理長の料理、とても美味しいものね」
悩んでいるところに、料理長のゴドヴィがやってきた
オールバックの髪に狼目のラベンダー色の瞳、ニと半メートル、私の二倍の身長、つまりは、私の頭が彼の腰辺りにある身長
今日も相変わらず無骨というのか、にしても大きいわね
「お嬢……」
「ゴドヴィ、ごきげんよう、昨日のおやつのプリンタルト、すばらしかったわ!もうね、こう、こんな感じで……」
興奮して手を大きく振り回す。どうしても、ゴドヴィに伝えたくて
「光栄……」
ゴドヴィは、私に微笑みかける。
チェイスはぽかんと口を開けて、ゴドヴィをみていた
「……」
ゴドヴィはチェイスの視線に気づいたのかチェイスをじっと見つめた
「ゴドヴィ、チェイスはゴドヴィの作る料理が、美味しくて、マナーを忘れて癖でマナーのなっていない形にどうしてもなるらしいの。
どうしたらいいかしら」
と、一応、相談してみると、ゴドヴィがチェイスの前にたった
ゴドヴィの圧倒的な威圧感にチェイスは少し怯んでいた
「食するときは食材への敬意を表せ……敬意を学ぶならば食材に触れること」
それだけ、言うと立ち去ろうとしたゴドヴィ。
「弟子にしてくれ」
ん?
チェイスがキラキラした瞳でゴドヴィを見つめている。
……ん?
「料理の道は厳しい」
「頑張る」
そして、2人はあの夕日(調理場)に向かって走って(歩いて)いく───
……収まるところに収まった、ということかしら
うん、別に違和感なんてないわ。