第4章 お兄様の秘め事
「ローレンお兄様、お話があります。」
「ん?どーした、ミア」
ローレンお兄様に会いにいく。
考えた結果、私は直接会いにいくという方法しか思い付かなかったからだ
お似合いの部屋に突撃した
「ローレンお兄様……私、貴方の力になりたいの」
ローレンお兄様の顔が驚いたような、悲しんだような、変な顔に一瞬なった。泣きそうな顔、というのか
ローレンお兄様──
これまでの記憶
私はローレンお兄様に嫉妬をしていた
いつも、貴方は私の前を歩く、家を継ぐのは貴方で、私は女だからできない。
魔法はとても上手で
剣術も、なにもかも貴方は完璧。
だから、嫌いだった。
貴方は私を越えていく。 ……乙女ゲームのキャラクターとしての私は貴方が嫌いだ。
地位、期待、名誉…どんなに頑張ったって…
私が一番ほしいものを全てとっていく
貴方が憎かった…
思わず、貴方を睨み、隙あれば貴方を虐めるような行為をしました。
今の私には前世の記憶があるし、私の性格は前世である。
そんなミアの憎しみはよくわかる。
それでも、私は違う。
「ローレンお兄様を尊敬している。大好きだから。
お願い、私に教えて、どうしてお兄様はそんなに、空っぽなの」
自分でも驚くほど素直であった。
ローレンお兄様の顔は真っ青になっていた
何か、恐れるような恐怖した顔
蛇に睨まれたカエルのように動かない
「空っぽ……か」
自分を保つためか、ふうっと息を吐いたローレンお兄様
「うん……まあ、そうだよ」
諦めたような笑いだ
今までにないほど、それは空っぽだ。
生きてるのか、死んでるのか
「人に性質を見破られるって、初めてだ。
……怖いな、体が震えてる」
ローレンお兄様はいつも、そうだ、抱え込みすぎるのよ。
ローレンお兄様は……
「ミア……」
「大好きよ、心から、ローレンお兄様」
ローレンお兄様だって、まだまだ子供。ローレンお兄様は泣いていた。私は自分の手で、ローレンお兄様のほほを優しく撫でるように、涙を拭き取った