第4章 お兄様の秘め事
台本を渡され、私は急いで目を通した。
双子の兄妹は街外れの森で慎ましく体の弱い母親と暮らしていた、幸せいっぱいの家庭
ある日、体の弱い、母親が倒れてしまうのだ。
お医者様にもいけないほど、貧しい家庭だったため、双子の兄妹は幻の薬草を探しにいく
旅先での危険を乗り越え、幻の薬草を探し出すという、王道といえば王道の話である。
最後、2人は疲れはてて、母親のもとに戻らず、死んでしまうのだけど
団長さんの演出はこったものだった。
台本にはいろいろと乱雑な文字で、書き足されていた
見せ場、美しい幻想的な花に囲まれて兄妹が死んでいくというシーンには百メートルから、命綱なしで飛び降りようだ
……こんな、人間技なのか!?魔法ってどうやって出せばいいのかしら!!
団長のところどころに魔法を使うという文字に気が遠くなりそうになった
「おっ、やっぱりここにいたのか、ミア」
控え室にメイフィスと私がいて、そこに陽気な雰囲気で入ってきたのはローレンお兄様…と、後ろから、グリフィスト様がいた
「ローレンお兄様ぁぁぁ!!助けてください!!」
「わっと」
ローレンお兄様にタックルした私を優しく受け止めたローレンお兄様はニコリと笑った
「よしよし……どうした?そっちのは?」
ローレンお兄様はメイフィスをちらりとみた、メイフィスは慌ててお辞儀をする
「メイフィスよ、これから、私の専属執事になるの」
「へー、そっか」
ローレンお兄様はニコニコとした笑顔に少し、安心感を覚えた
「グリフィスト殿下がミアを心配していらしたんだぞー」
グリフィスト様、なぜ、頬を赤らめるの
「あ、えっと実は……」
私はハイスペック攻略対象ローレンお兄様に相談する
「ふーん……台本、みせてみてくれ」
「え?」
「義妹を助けるのが、義兄の仕事だろ」
ローレンお兄様はいたずらっ子みたいに笑った
「グリフィスト殿下、どうか、義妹の危機に、ご助力お願いできますか」
「俺に……できることならば……友を助けるのは当たり前だ」
なんと、頼もしい!
私はハイスペック攻略対象2人とメイフィスからご助力を得られることになった