第4章 お兄様の秘め事
「あの、僕もサーカスを拝見させていただいてもよろしいのでしょうか。
僕、チケットを持っていません」
「私の執事なんだから、貴女は私の隣にいることは義務よ。仕事よ、仕事」
私はメイフィスのお姉さんぶりながら(実際、メイフィスの方が二歳、歳上)前を堂々と歩く
「ミアお嬢様、そちらは左です」
たまに、私が道を間違えては、メイフィスが優しく教えてくれた
「おい!!これは一体、どういうことだ!!」
「あら?」
遠くからでも聞こえる声に私は立ち止まる
「ミアお嬢様、どうなさいましたか?」
「ねえ、メイフィス…あちらに行ってみましょう」
「え、でも……はい」
メイフィスがためらいながらも、私の言葉に従う
そこにいたのは、確か今日のサーカス団の団長さん。プロ意識が高いのか1人で何役も演じていて顔を覚えてしまった
「バーデン男爵が来て、あの2人を買い取っていかれました」
新人サーカス団員みたいな男性が弱々しく言った
「なんだと……ああ、どうしたらいいのだ!
お客様にどう顔向けしたらよいか」
団長は困ったように、眉間にシワを寄せる
「も、もう中止にしましょうよ」
「そんなこと、できるわけがないだろう!
バカなのか、新入り
メインイベントなんだぞ!」
……え?
メインイベントって
あの、『双子の大冒険』とプログラムにも大きく書かれていた!?
「あれ、楽しなのに!!」
「「っ…!?」」
「ミアお嬢様…?」
私、ミアは団長達の前に出てきてしまっていた。
「私にやらせて!!私みたいに、楽しみにしている子達がかわいそうよ」
私はいつの間にか不可能なことを口走っていた
メイフィスがおろおろとしている。ごめんね
「なんと!頼もしい、これは神の助け!お客様に頼ることになるが……やむを得ん」
なんて、輝きの満ちた顔だろう、団長。
やってしまったぁぁぁ!! 私は心の中で叫んだ
私の言葉を信じ、賭けをするような笑顔の団長……ああ、助けて、誰か
あと、双子の兄役はメイフィスがやることになった。
「僕、こんなの初めてですよ…?」
困り果てた少年。
ごめん、巻き込んだ