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令嬢は必死なんです!!

第4章 お兄様の秘め事


ローレンお兄様はなんと、いや、何となく予想ついていたけど、私たちを下町につれてきた。


 「ローレンお兄様、さすがにこれは……」


私はグリフィスト様とローレンお兄様を交互にみた。

グリフィスト様は王子である。私たち伯爵や子爵が訪れるならまだしも、相手は王子である。


見つかったらかなり問題だと思う。


 「グリフィスト様、嫌ならお帰りになって……あら?グリフィスト様!?」


いきなり、隣から消えたグリフィスト様。


と、思うと遠く離れた場所の使い古しの物が売られた店をジーッと眺めていた。

 「グリフィスト殿下を怒らせたか?」


その、ジーッと眺める様子はあまりにも不機嫌で、ピリピリとした空気だった。

そのため、ローレンお兄様は少し困ったように笑ってみせた


 「いや、あれは……」


黒髪がいつもより、かなり艶やかだ。


 「グリフィスト様、楽しんでおられるわ」


あれだろうか、高価なものに囲まれた豪華な生活をしているから、古い物が珍しいのか


前世の私は古い物が友達だったぞ?バーゲンセールは私の友だった。嫌味ですか、グリフィスト様


まあ、今は私も令嬢でそれなりに豪華な生活だけど


 「グリフィスト様、何かお目を引く品はありましたか?」


私はグリフィスト様の後ろから聞いた


 「………。」


若干、苦しそうな表情をしたグリフィスト様はチラリと出店の棚に並んだ一つの時計をみている


時計の針は動かず、金の縁も何となく黒く汚れていた。


シンプルで大人っぽいデザインである


 「あの、これくださらないかしら」


 「!?」


グリフィスト様は目を丸くして私をみている


 「ええ!?これが欲しいのかい?使いものにならないから、タダでやるよ」


気前の良いおばさんは私にタダで、時計をくれた


 「ありがとう。はい、グリフィスト様」


 「っ……?」


まだ、唖然としたグリフィスト様はいつも以上に無口なまま、その時計を受けとる


 「私から、貴方と友である証です」


私はニコッと笑う


 「っ…」


なぜか顔がほんのり赤くなったグリフィスト様


 「ありが…とう」


グリフィスト様はぎこちなく、それを握りしめた
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