第22章 僕だけの青いイチゴ ( 月島 蛍 )
別に説明を求めてもないのに、兄ちゃんは勝手に説明を始める。
ローストビーフにローストチキン?
機内食の選択肢か?と眉を潜める。
これでビーフ or チキン?とか聞いてきたら、ちょっと···軽蔑するよね。
明「ビーフとチキンとか、機内食っぽいよね!なぁなぁ!···ビーフ or チキン?」
アウト、軽蔑決定。
「どっちもいらない。自分で適当に食べるから、ほっといて」
明「蛍?!せっかく兄ちゃんが作ったのに!!」
あ~···うるさ。
山口よりうるさいのが家にいるなら、いっそ出掛けた方が賢かったのかと後悔する。
自分で甘い紅茶を入れて戻ってくれば、テーブルの僕の席に···
「なに?」
明「せっかくだからさ、味見くらいしてよ?な?」
味見っていう量じゃないんだケド。
あからさまなため息を吐き出し、仕方なくテーブルについて食事に手をつけた。
食べているあいだも、味はどうだとか、うるさい。
不味くはないと言えば、それは裏返して美味しいってこと?と勝手に喜ぶ始末。
ホント、面倒。
「ごちそうさま」
サッと食器を片付けて、部屋に戻りベッドへ寝転がる。
···そうだ、放置したままだった。
スマホの電源を入れ、立ち上がりを待つと。
「うわ···山口、僕のストーカー?」
思わず声に出てしまう程のLINEの数。
どれもこれも、ツッキー!電話出て!とか、そんなのばっかり。
そもそも電源落としてんだから電話出てとか言われたって気付く分けないデショ。
全てに既読をつけて、仕方なく《 山口、うるさい 》と返信だけして···ふと、山口からじゃないLINEに気がついた。
城戸さん?
部活の連絡か何かだと思ってメッセージを開いてみると、全く部の事とは関係ない言葉が並んでいた。
《 月島君、午後とか時間ある?洋服とか買いに行こうかな?って思ってるけど、自分で選ぶといつも同じようになっちゃうからアドバイス欲しくて 》
まぁ、電源落としてたんだから返信はしてないよね。
《 部活休みだから、寝てるのかな?ゴメンね 》
いや、起きてたけど。
いつ来たのか時間を見れば、僕が課題から手を引いた当たりの時間。
まだ、間に合う?
そもそも、なんで僕に連絡なんかして来た?
···僕の気持ちに、気が付いてからかってるの?
眉を潜め、迷う。