第16章 autumn wedding ( 青城3年組 )
及「お風呂ねぇ・・・あ!だったらさ?今日からオレと入る?」
『入るかッ!』
松「じゃあ、夜はオレが添い寝しようか?」
『必要なしッ!』
花「んじゃ、」
『結構です!』
花「オレまだ何も言ってねぇよ!!」
『だいたい見当つく!』
岩「紡、お前本気でマネやらねぇ?コイツら扱うの上手すぎる・・・」
『お断・・・考えてやらなくもないこともない』
岩「どっちだよ!」
みんなで顔を合わせて、一斉に笑い出した。
及「紡ちゃんがマネやってくれたら、オレ本気出して頑張っちゃうんだけどなぁ」
岩「ほぅ・・・じゃあテメェはまだ、本気出してねぇって事か・・・」
あ、ヤバ・・・岩のスイッチが。
岩「クソ川テメェ!お前ウチの主将だろうが!もっとしっかりしやがれ!!」
及「ちゃんと主将やってんじゃん!岩ちゃんこそ副主将なんだから、もっとオレを労わってくれよ!」
岩「誰が誰のどこを労われっつーんだよ!このグズ川!!」
あ~ぁ、始まっちゃったよ・・・
花「つーちゃん、早めに離れとけ」
松「だな、こっち来い」
ふたりに腕を引かれ、背中に隠される。
『ねぇ?・・・そこまで危なくないんじゃない?』
私がそう言うと、ふたりはクルリとこっちを向いてジリジリと迫ってくる。
花「いーの!アイツらいたらつーちゃんを独占出来ないからな」
スルッと私の頬を撫で、おデコを近付ける花の目に私が映る。
『ちょっと花?些か距離が近くないですかね・・・』
顔を反らし花から離れようとすれば、今度は松が顔を近付ける。
松「お~い、オレの存在を忘れんな?オレなら花巻からも、ブロックしてやるぜ?」
『だ~か~ら!ふたりとも顔近いってば!』
岩・及「お前らは・・・そこで何をしてる・・・?」
花「何を?って、なぁ、松川?」
松「まぁ、その、アレだ。なぁ紡?」
『そこで私に振らないでよ!岩・・・3人纏めて思う存分どうぞ?』
岩「任せろ」
ニヤリと黒い笑顔を浮かべる岩を見て、3人が慌て出す。
学校にいる時と、何も変わらないいつもの光景を眺めながら私は口元を緩ませた。
ひと言で言い表すなら・・・大きな子供みたい。
じゃれ合うみんなをそんな風に思いながら、宮城とは違う香りの風に、のんびりと吹かれていた。