第1章 真夏のカーディガン
「紗奈、なんか隠してることとか悩みとかあんべ?」
「何言ってんの? 私がそんな悩んでそうに見える?? 孝支の考えすぎだよー!」
何度聞いてもはぐらかされる。
紗奈は、その頃から常にカーディガンを着るようになった。
俺は毎晩紗奈の部屋を見るようになった。
紗奈の部屋には毎晩のようにアイツがやってきた。
アイツは紗奈の身体に触れる。
俺の知らない紗奈の身体に痕を残す。
俺は、それを見て興奮していた。
カーテン越しに行為を覗き、そして自らの欲求を充たしていた。
明るい部屋の中で淫れる紗奈の視線とぶつかったような気がした。
それでも目が離せなかった。
余りにも妖艶で、それでいてどこか儚くて。
俺自身が紗奈を抱いていると言う妄想の中、自らを扱き続けた。