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君の計算を狂わせたい【黒バス/花宮】

第11章 ぬくもりの宿




すったもんだの末、私はバスタオルを巻いて入浴することになった。

お風呂自体はさっき入ったばかりなので、湯船だけ。

本当はせめて水着を着たかったんだけど、残念ながらすぐに出せる所にはなかったので、もう諦めた。

ひんやりと冷たいバスタオルを握って、私はシャワーの音が響く扉に手をかける。

 
「失礼しまーす……」
 
 
扉を開けると、むわっと温かな湯気が私を出迎えた。

シャワーの音がやんで花宮がこちらを向く。
 

「準備にどんだけ時間かかってんだよ」
 
「いやぁ色々あって……」
 
 
心の準備とかね!
 
あんまり肌色部分を視界に入れないようにしながら、私はそっと扉を閉める。

 
「俺もう洗い終わったんで、シャワー使いたかったらどうぞ」
 
「……ありがとう」
 
 
ちゃぽんと湯船につかる音が聞こえてから、私はシャワーを手に取る。
 
ちらりと鏡を見やる。

そこには湯船に気持ちよさそうに浸かる花宮が映っているのだけど……。


長めの髪が邪魔なのか、横髪や前髪が無造作に後ろに流されている。

…………

なんなんだろう、そのかっこよさは。

イケメンって恐ろしいな。

破壊力がすごい。


悶々とした気持ちも一緒に流してしまえと、少し冷たいお湯を頭からかぶった。

お湯のはねる音だけがお風呂場に響く。

……なんか緊張してきた。

もう一度鏡に目をやると、鏡越しに花宮と目が合った。


「……っ!」


慌ててそらす。

もう一度バレないように鏡を見ると、花宮がわずかに笑みを浮かべていた。

なんか悔しい。

さっきまであんなだったくせに……私ばっかり意識してる。

花宮はいつもの調子に戻ってるし。

意識してる様子ないし。

私に女として魅力が足りないのだろうか。

……それは普通に落ち込むんだけど。


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