第9章 どうなってやがる(花宮side)
花宮side.
「うわ、すごい……そんな遠くから入っちゃうんだ」
トントンとバウンドを繰り返すボールを拾って、越智が感心したように呟いた。
「……別に普通だろ」
俺は地面に視線を落とす。
しばらくしてリングにボールが当たる音が響いた。
ちらりと視線を上げると、眼前にボールが迫ってきている。
「……っ! 危ねぇ」
「わっ、ごめん!!」
「お前……どうしようもねー下手くそだな」
ため息をはきつつ、受け止めたボールの感触を確かめる。
顔の前で手のひらを合わせる越智が、ちらりとこちらを見た。
「いや〜、花宮は上手だね?」
「だから、バスケやってりゃあ、このくらいは出来て当たり前なんだよ」
スリーポイントシュートを決めるなんて、練習すれば誰にだってできる。
反対コートからシュートを決めるバケモノみたいなやつだっているんだ。
こんなのできて当然。
頭をよぎる面々。
ふいに笑みがこぼれた。
俺は手のひらで転がしていたボールをバウンドさせる。
地面に強くついて、姿勢を低くして、走り出す。
何度かフェイントを加えて、止まる。
ここでシュート。
「ゴール!! ツーポイント!!」
越智の声が響いた。
照りつける暑さが気持ち良かった。