第5章 違和感(花宮side)
花宮side.
「そうだね……えぇっとね、花宮にはここで寝てもらおうかな」
越智が指差すのは、俺がここに来てからずっと座っているソファー。
「足はみ出るぞ」
「うちの弟もいつもソファーで寝てるから、布団がないんだよね」
越智は申し訳なさそうに眉を寄せた。
まあ、体を丸めれば足も収まるし、一日くらい寝返りがうてなくてもいいか。
「じゃあここで寝る」
俺がボスリとソファーに座ると、越智は一度部屋を出てバスタオルを持ってきた。
「夏だしこれでいいよね?」
「ああ」
バスタオルを受け取る。
越智はそわそわしながらまだいる。
「まだ何か用あんのか?」
俺がそう言うと、越智はカッと顔を赤くして「ない!」と声高らかに台所の方にいった。
自然にふはっと笑いがこぼれた。
あいつ面白ぇな。
俺のこと意識してんのバレバレだし。
越智はしばらく冷蔵庫を漁ってから、部屋を出ていった。
俺は仰向けに寝転がって、天井を見る。
やることねぇな。
ふわりとあくびをしてみる。
眠気はあるが、まだ眠れそうではなかった。