第5章 違和感(花宮side)
花宮side.
「ふぅ~」
部屋に入ってきたのはこの家の主、越智まゆりである。
越智は全身から湯気をほかほかと発しながら、こちらに近づいてきた。
俺は眉をしかめる。
すると、奴もムッとした顔をした。
何か言おうとして、そのまま息を吐き出す。
「何か言いたいことがあんなら言えよ」
「……言っても怒らない?」
「内容による」
「じゃあ言わない」
チッと舌打ちが出た。
「めんどくせぇな、さっさと言え」
「……なんで花宮っていつも不機嫌なのかなって」
「あ"ぁ?」
「ほら、やっぱり怒るじゃない!」
「そりゃあ、ご主人様の性格にケチつけるんだから、当たり前だ」
そういやあ、こいつ犬にしたんだっけ。
あんなのは単なるその場のノリだったが……こいつは割とまじにとらえてるし、まあ使い勝手もいいし、悪くはない。
ふわりとあくびが出た。
眠い。
「そういやあ、俺の寝る場所ってどこなんだ?」
「え、もう寝るの!?」
時計に目をやれば、針が指すのは9と6。
つまり9時半。
「まだ寝るには早いが、寝る場所くらい聞いたっていいだろ」