第31章 【不器用】×【無口】
「……好きだよ。」
怖くて空の顔も見れずに居たけど、聞こえたその言葉に驚いて顔を見る。
目に映ったその表情は、真剣そのもので。
「…そっか…。良かったぁ…。」
安心して、嬉しくて。目に涙が浮かんだ。
そんな私を見て慌てる空。
「……えっと…。不安にさせてごめん。」
「良いの。私こそ、何回も聞いたりして…ごめんね。」
私だって、何度も自分を好きかと聞いて、空を困らせた。
あまり話したり想いを伝えるのが得意じゃないこと、知ってるのに。
謝る私の頭を、空は暖かな手で優しく撫でた。
空は無口だし愛情表現とか苦手な人だけど、
何かあるといつも私の頭を撫でる。
それが私は、すごく好きだ。
「空の手、暖かくて好き。」
零れかけた涙を拭いて笑ってそう言うと、
腰を引き寄せられ、口付けをされる。
「…!」
唇が離されると、空は言った。
「…なら俺は……唇?…かな。」
「…な、なんで?」
「ずっと見てると、キスしたくなる…から。」
その答えに、顔は真っ赤になっていくばかりで。
私の彼氏は 偶に本当……狡い人だ。