第31章 【不器用】×【無口】
私の彼氏は 無口な人だ。
話すのが苦手な人でみんなによく変な誤解をされるけど、私のすごく大切な人。
それに、私にとっては完璧で素敵な人なのです。
一緒に帰ろうと誘えばそっと手を差し出してくれて、
好きだと伝えれば優しく頭を撫でてくれる。
私が困っている時にはすぐに助けてくれて、
辛い時には何も言わず隣に居てくれる。
そんな感じで、大好きな人なんだけど。
確かに少し、不安になることもある。
私を好きかと何度聞いても、いつも何も答えてくれない。
まず、彼の口から 好きという言葉を聞いたこともない。
「…………どうしたの?」
不安そうに首を傾げる。
「ねぇ、空。私の事…好き?」
ちょっとだけ怖いけど、ちゃんと気持ちを知りたいし。
空の言葉で、想いを聞きたい。
でも、やっぱり空は黙り込む。
本当は私の事なんて_________好きじゃないのかも知れない。
告白した時の事は、今もはっきり思い出せる。
「空が好き。上手く説明出来ないけど…
誤解されやすいけど本当はすごく優しくて格好良くて、気が付けば好きになってて。
私で良ければ、彼女にしてくれませんか。」
告白なんてした事なくて、すごく怖くて。
でもその時、空ははっきりと頷いた様に見えて。
今考えればそれすらも、勘違いだったのかも知れない。
「ごめん。何でもない。」
だったら、この質問すら無駄なものに思えて来て。
急いでその質問を無かった事にした。